当院での急性副鼻腔炎や中耳炎の原因菌は?
甲府市横根町KEIメディカルスクエアのかわせみ耳鼻咽喉科です。
当院では感染症診療の質を上げるため、抗生剤を処方する際には可能な限り細菌培養検査を行っています。
昨年の6/1〜今年の5/31までの間に採取した細菌培養のうち、急性副鼻腔炎と急性中耳炎に対して鼻腔や上咽頭から採取した方(およそ1300人)のデータをまとめました。
全年齢帯で見たときの出現順位(複数出る場合もあるので合計が100%を超えています):
第1位 Moraxella catarrhalis (モラキセラカタラーリス) 40.2%
第2位 Haemophilus influenzae (インフルエンザ桿菌) 34.57%
第3位 Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌) 29.55%
第4位 Streptococcus pneumoniae (肺炎球菌) 8.02%
これは一般的には以下のような順番だと言われていました。
第1位 Streptococcus pneumoniae (肺炎球菌)
第2位 Haemophilus influenzae (インフルエンザ桿菌)
第3位 Moraxella catarrhalis (モラキセラカタラーリス)
第4位 Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌)
もともと多かった4つの種類の順番が変わっているだけのようにも見えますが、実はこれには大きな意味があります。それは、菌の種類によって薬の効き方に大きな差があるからです。
サワシリンという急性副鼻腔炎や急性中耳炎に対する第一選択薬の耐性について今回のデータから検討してみたところ、それぞれの菌の耐性状況は以下のようでした。
Moraxella catarrhalis (モラキセラカタラーリス) 100%
Haemophilus influenzae (インフルエンザ桿菌) 59.6%
Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌) 59%
Streptococcus pneumoniae (肺炎球菌) 1%以下
もともとはサワシリンが効きやすかった肺炎球菌が減って、効きにくかったモラキセラを中心とした他の菌が増えています。菌種に限らず、今回出てきた菌全体(臨床的に意味のあるものに限って)のサワシリンの耐性について調べてみたところ、68.1%の菌で耐性が認められました(耐性と中間耐性を含めて)。
この結果を受けて、当院では急性副鼻腔炎や急性中耳炎に対する第一選択薬を変更して対応していく方針といたしました。
今後も細菌培養は積極的に行い、質の高い感染症治療の提供を目指していきます。
#KEIメディカルスクエア
#かわせみ耳鼻咽喉科
#細菌培養
#抗生剤の適正使用
#急性副鼻腔炎
#急性中耳炎


